
抹茶が海外で大ブーム!日本人として知っておきたい「抹茶」と「粉末緑茶」の違い
実はここ1〜2年で、全世界的な抹茶ブームが起きているのを知っていますか?
ニューヨークやロサンゼルス、パリ、ロンドンなどの大都市を中心に、おしゃれなカフェでは軒並み「抹茶ラテ」が常備メニューに!
抹茶チョコレートや抹茶ケーキなど、抹茶を使用したスイーツも続々と登場しています。
もはや「MATCHA」は世界で通じる言葉の仲間入りを果たしたのです。
でも待って、外国人に抹茶を説明しようと思ったらなんと言ったらいいのかわからない!「グリーンティーパウダー」?
そういえば、お寿司屋さんにある無料のお茶もグリーンティーパウダーじゃない?あれ??となっているあなたへ!
この記事を読んで、そのモヤモヤを解決しましょう。
同じお茶の粉なのに何がちがう?「抹茶」と「粉末緑茶」
抹茶スイーツなどに使用されている「抹茶」と、お寿司屋さんにある「コナ状のお茶」。
二つが絶対にちがうものだとわかっているはずなのに、ちがいを説明するとなると困ってしまう人が多いのではないでしょうか?
見た目があまり変わらず、同じ「お茶の粉」なので何がちがうのか説明しにくいですよね。
お寿司屋さんにあるお茶は、一般的に「粉末緑茶」といいます。これは、文字通り「お茶を粉にしたもの」です。
抹茶もお茶の粉じゃん!と思ったあなた。間違っていませんのでご安心を。
では何がちがうのかというと、
原料となる茶葉がちがいます。
抹茶は「碾茶(てんちゃ)」というお茶を粉末にしたもの、
粉末緑茶は「煎茶(せんちゃ)」というお茶を粉末にしたものです。
改めて確認したい、「抹茶」とは何か
抹茶は、簡単にいうと「碾茶(てんちゃ)を粉末にしたもの」です。
では、碾茶とはどんなお茶なのでしょうか?
碾茶(てんちゃ)は、ふつうの茶葉よりも値段が高い高級なお茶です。
なぜかというと、ふつうの茶葉よりもたくさんの手間ひまがかかっているからなのです。
碾茶と呼ばれるには、茶葉をつむまで茶畑全体を少なくとも20日以上覆って強い日差しを避けたり、茶葉を揉まずに蒸して乾燥させ、石臼で挽いたりする作業を経なければいけません。
人手と手間がかかっていると思えば、高級なのも納得ですね。
「粉末緑茶」とは何か
碾茶(てんちゃ)という高級な茶葉を、石臼で挽いたものが「抹茶」ということがわかりましたね。
対して粉末緑茶は、簡単にいうと「ふつうの茶葉をかなり細かくしたもの」です。
ここでいう「ふつうの茶葉」は、「煎茶(せんちゃ)」と呼ばれます。
煎茶のもとは、たくさんの太陽の日差しを浴びてスクスクと育てた茶葉です。
それを蒸して、揉んで、乾燥させたものが「煎茶」です。
煎茶は、碾茶のように直射日光を避けたりしなくていいので、茶葉の等級により価格帯もさまざまです。
この煎茶を、機械でかなり細かく粉末状にしたものが「粉末緑茶」です。
旨みの抹茶、効率的な粉末緑茶
抹茶は、旨み成分の「テアニン」がたくさん含まれています。だから、抹茶は濃厚で和菓子ともよく合うのですね。
抹茶を使ったスイーツやドリンクの独特の旨みにやみつきになるのも、このテアニンのはたらきです。
一方、粉末緑茶のメリットは、何より手軽に茶葉の栄養をそのままとれることです。
緑茶には「カテキン」という体に良い成分がたくさん含まれています。しかし、お茶を淹れた後の茶殻にもかなりたくさん栄養分が残っているのです。
粉末緑茶は、煎茶の茶葉をそのまま食べているのと同じなので、栄養をムダにすることなく摂取できるのがうれしいポイントですね。
抹茶に比べるとかなり安価で手に入るので、毎日飲んでも経済的です。
ここまでで、抹茶と粉末緑茶のちがいがご理解いただけたでしょうか?
外国人に説明するときも、これでバッチリですね!
抹茶 = グリーンティーパウダー?
抹茶と粉末緑茶は、どちらとも「緑茶の粉」という点では同じです。
しかし、原料となる緑茶の茶葉の育て方や加工の仕方が異なります。ですから、「粉末緑茶」を「抹茶」と呼ぶことはできません。
ですが、いま世界中で起きている抹茶ブームの裏で、残念な事実が報告されています。
海外では、価格帯や成分が大きくちがうのに、見ためが似ていていることから「粉末緑茶」を「MATCHA」と称して売ったり使用したりする例があるようです。
海外だと、本物の抹茶を見たことも味わったこともない人が大半です。そんな中で抹茶と粉末緑茶を見分けるのは困難ですよね。
そこで、ホンモノの抹茶とニセモノ抹茶(粉末緑茶を抹茶と称したもの)を区別できるようにしようという動きが出てきました。
実に26年ぶり!抹茶の公式な定義が改定
2017年の緑茶(抹茶を含む)の輸出量は4642トンで、前の年と比べて13%も増加しました。
金額にすると144億円で、前年比24.3%増となりました。
10年間でなんと、数量は2.9倍、金額は4.5倍に!
日本の緑茶、日本茶の輸出は今後も大きく伸びしろがあると予想されています。
この人気ぶりを見て、外国人に誤解をまねかないよう2017年に抹茶の定義が改定されました。
1991年の制定以来、なんと26年ぶりとのこと!
安全で良質な日本茶を広める活動をしている「日本茶業中央会」は、これまで抹茶の定義を「碾茶を茶臼等で粉末状に製造したもの」としていました。
2017年からは、ちゃんとした抹茶の素材や作り方に沿わないと抹茶とは呼ばせませんよ、というために新たなルールが付け加えられました。
- 碾茶は、つむ前に2〜3週間ほど直射日光を避けて覆わなければいけない
- 乾燥させる際には、特定の機能を備えた機械を使用すること
- 粉末にする際には、石臼を使用すること
新しい定義だと、たとえば「茶葉を1日だけ覆った」とか、「石臼ではない機械で粉末に加工した」とかの場合は、抹茶と言えなくなりました。
世界の「MATCHA」としての、今後の「抹茶」のあり方
こうして「抹茶とは何か」をはっきりさせておくことは、日本の抹茶の質や評判をよく保つためにはとても大切です。
たとえば、日本から海外に抹茶でないお茶を輸出するときに「MATCHA」と呼ぶようなまぎらわしいマネはできません。また、海外で粉末緑茶が「MATCHA」として売られていたら、まちがいを指摘することができますね。
ホンモノの抹茶は特に、生産者の方々の手間ひまがかかっていますから、こうした公的な支えで守っていかなくてはなりません。
抹茶を飲む機会があれば、少しだけこの話を思い出してみてくださいね。
AKEBONO TEA
AKEBONO TEA(アケボノティー)は、日本茶をベースにさまざまなハーブを組み合わせたフレーバー煎茶を展開する 東京発のオーガニックティーブランドです。